連載シリーズ
記録から始めるダイエット入門
第7回 / 全10回
食事記録アプリや栄養成分表示で「PFCバランス」という言葉を見ることがある。割合を毎食ぴったり合わせる必要があると思うと、記録が急に難しく感じられる。
PFCは、たんぱく質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(Carbohydrate)が、食事のエネルギーに占める割合を見る考え方である。18〜49歳の成人について、日本人の食事摂取基準(2025年版)は、たんぱく質13〜20%、脂質20〜30%、炭水化物50〜65%を目標量として示している。
ただし、範囲は毎食の採点基準ではない。初心者は食品表示の3項目を確認し、主食・主菜・副菜の組み合わせを1日単位で振り返るところから始めたい。
PFCの基本
P:たんぱく質
18〜49歳の目安:13〜20%
F:脂質
18〜49歳の目安:20〜30%
C:炭水化物
18〜49歳の目安:50〜65%
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」。年齢、妊娠・授乳、治療状況などにより確認点は異なる。
P・F・Cはそれぞれ何を表す?
| 記号 | 栄養素 | 食品表示 | 食事で見る例 |
|---|---|---|---|
| P | たんぱく質 | たんぱく質 g | 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など |
| F | 脂質 | 脂質 g | 油、揚げ物、脂身、ナッツ、ドレッシングなど |
| C | 炭水化物 | 炭水化物 g | ごはん、パン、麺、いも、果物、菓子など |
PFCは食品の良し悪しを決める分類ではない。三つとも体に必要な栄養素であり、どれかを極端に抜くことを勧める指標ではない。
割合の目安はどう読む?
食事摂取基準の割合は、総エネルギー摂取量に占める各栄養素由来のエネルギー比率である。グラムの割合ではない。また、各範囲の下限や上限を単純に組み合わせるものでもない。
| 読み方 | 適した使い方 | 避けたい使い方 |
|---|---|---|
| 1日・数日の傾向 | 同じ偏りが続いていないか見る | 一食ごとに範囲外を失敗とする |
| 食事全体 | 単品ではなく組み合わせを見る | 一つの食品だけで判定する |
| 個人差を考慮 | 年齢、活動量、体調と合わせる | 治療中の食事へ一般値をそのまま使う |
食品表示からPFCを計算する方法
概算では、たんぱく質と炭水化物を1g当たり4kcal、脂質を1g当たり9kcalとして計算する。
架空の食品表示例
たんぱく質10g、脂質5g、炭水化物50g
- たんぱく質:10×4=40kcal
- 脂質:5×9=45kcal
- 炭水化物:50×4=200kcal
合計285kcalとして概算すると、P約14%・F約16%・C約70%になる。
実際の表示熱量とは、食物繊維や有機酸などの扱いによって差が出ることがある。この計算は記録用の概算であり、表示値の誤りを判定するものではない。
「100g当たり」と「1包装当たり」を間違えると計算結果も変わる。単位の読み方は、「カロリー表示の見方は?初心者は『単位』と『1食分』から読む」で確認できる。
最初は主食・主菜・副菜で見る
毎回計算するのが負担なら、食事の型から見る。主食は炭水化物、主菜はたんぱく質、副菜は野菜・きのこ・海藻などを確認する手がかりになる。
主食
ごはん、パン、麺など。抜くかどうかではなく量と回数を見る。
主菜
肉、魚、卵、大豆製品など。調理に使う油も合わせて見る。
副菜
野菜、きのこ、海藻など。PFCだけでは見えにくい部分を補う。
たとえば「昼が麺だけ」「夜は主菜が多く副菜が少ない」と書くだけでも、次に変えやすい場面が分かる。食事記録の最小項目は、「食事記録は何を書く?初心者向け3項目と1日の記入例」で紹介している。
初心者の3段階
主食・主菜・副菜
P・F・Cのg
1日全体で概算
毎日すべて計算する必要はない。気になる商品や、同じ食事が続く期間だけ確認してもよい。
注意したい人
- 腎臓病、糖尿病などで個別の栄養指示を受けている
- 妊娠・授乳中、成長期、高齢で栄養量の調整が必要
- 食事量が少なく、低体重や意図しない体重減少がある
- 数字を見ると食事を極端に減らしたくなる
- 摂食障害の治療中、または心配がある
該当する場合は、アプリの自動目標や一般的な割合より、医師や管理栄養士などの個別指示を優先する。
まとめ
PFCは、たんぱく質・脂質・炭水化物が食事のエネルギーに占める割合を見る考え方である。18〜49歳ではP13〜20%、F20〜30%、C50〜65%が目標量として示されている。
初心者は毎食計算せず、主食・主菜・副菜の組み合わせと食品表示を確認する。必要なときだけ1日全体の割合を概算し、数字を食事の採点ではなく振り返りの補助に使いたい。
参考資料
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 厚生労働省「エネルギー産生栄養素バランス」
- 厚生労働省「エネルギー産生栄養素」
- 消費者庁「栄養成分表示について」
- 農林水産省「栄養バランスに配慮した食生活」
- 文部科学省「食品成分データベース」
この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療・個別の栄養指導を行うものではありません。